部活の帰り道、何気なく立ち寄った公園に大きなひまわりが咲いていた。
「大石〜見て見て!ひまわりが咲いてるよ!!」
「ほんとだ可愛いな」
そう言った後、英二の大きな眼が俺をジーと見ている。
そんなに見なくても、わかっているよ。
英二が言ってほしい言葉。
だけどこれは俺の本心。
俺は苦笑した後、咳払いを1つした。
「英二の方が可愛いよ」
英二は満足したと言わんばかりに、ニシシと笑っている。
英二がこんな風に催促するのも、もとはと言えば俺が悪い。
英二に告白された後も、色んな事を考えすぎて、素直になれなくて・・
なかなか好きだって言葉に出してやれなかった。
だから英二はその分も取り返すぐらい、言葉にだして欲しいと思っているみたいだ。
本当は催促されなくても、俺自身が言葉にだしたいと思っているのに・・・
「英二知ってる?」
「何を?」
急に話をふられて、英二は少し戸惑いながら俺を見る。
「ひまわりって朝太陽が昇ってから沈むまで、ずっと太陽だけを見てるんだよ」
「えっと・・・」
「ごめん。わかりにくかったかな?だからね。ひまわりは朝は東を向いてるんだけど、
太陽の光を追いかけて、花が動くんだ。だから夕方には西を向いてるんだよ」
「太陽の光をおいかけんの?」
「そう。光をたくさん浴びる為に」
「へぇ〜〜大石って物知り〜」
「イヤ・・・そんな物知りって程じゃないと思うけど・・・」
そう言った後英二を見ると、ジッとひまわりを見つめている。
何か考え事をしているみたいだ。
大きな目が、ひまわりを捕らえたまま離さない。
赤い髪は、夕日に照らされて、更に赤みを増している。
その横顔が綺麗で見とれていると、英二の顔がフッとほころんだのがわかった。
俺はそれが気になって話しかけた。
「英二?」
「あっ・・・ごめん」
「何か考え事?」
「うん。俺の太陽は大石だって思ってたとこ」
えっ俺が・・・?
それは違うよ英二・・・
俺は小さく首を横に振って英二を見つめた。
「違うよ。太陽は英二だよ」
そう言って、手を差し出した。
英二は差し出した俺の手に自分の手を重ねてギュと握ってくる。
俺は握った手の体温を感じながら思う。
太陽は英二。
俺の方がひまわりだよ。
太陽に向かって、真っ直ぐ伸びるひまわりのように
いつも俺の心は英二に向いている。
英二の笑顔が見たくて、いつも英二の姿を追いかけている。
そして英二の笑顔に心が満たされていくんだ。
英二がいないと、俺 駄目なんだ。
テニスだって、他の事だって、英二のいない生活なんて考えられない。
英二が側に居てくれるから、がんばる事だって出きる。
ちゃんと前を向いていられるんだ。
英二・・・好きだ・・・
だから絶対に・・・この手は離さない。
STEP後の話、一番初めにweb拍手の中に入ってた作品です。